冗談です、と続けるが、まだ夕ちゃんは納得がいっていないようだった。
「あ、僕は近藤悠貴っていうんてすけど。」
「別に聞いてないけど。」
「覚えておいてくださいね。」
噛み合っていないようで、どこかテンポの良い会話が面白い。
二人の会話にクスクスと笑っていると、隣の彼が口を開く。
「何食べてきたんだ?」
優しく見下ろす彼に、心臓がドキンと跳び跳ねた。
「えっと、……オムライス。」
「オムライス?」
「うん、あの、この道をもうすぐ行ったところにカフェがあるの、知ってる……?」
会話がどこかぎこちない。……いや、ぎこちないのは私だけで、伊東くんは普段通りだ。
理学療法士として働く彼は、勤務中、ケーシー白衣に身を包んでいる。
もちろん今日もその姿だ。広い肩と適度に筋肉のついた逞しい腕は白衣にとても似合っている。
そしてその右手にはコンビニ袋が下げられている。
「……伊東くんは何買ったの?」
すると彼はわざわざ両手で袋を開け、中をこちらへ見せてくれた。

