「はい、ソーダ割りで良かったよね?」
そう言って私の前に現れたのは、さっきのバンダナの彼だ。
「あっ、はい、ありがとうございます。」
「いーえ。」
目尻に皺を寄せて、くしゃっと笑う彼は伊東くんが座っていた前にビールを置くと、そのまま立ち去る。
……と思ったが、なんとそのままその一人掛けソファーに腰をかけた。
「名前、なんていうの?」
「あっ、小山と申します。」
下の名前は?と続ける彼に、日和です、と答える。
ヒヨリ?と首を傾げる彼に、小春日和のひよりです、と答えるとなんとか納得してくれたようだった。
「日和ちゃんね。あっ、俺は廣田俊介っていうんだけど。」
「……廣田さん。」
「やだなぁ。」
俊介でいいよ、という彼に首をブンブンと振る。いきなり下の名前で呼ぶなんておこがましいし、何より恥ずかしい。
「日和ちゃんは、今いくつなの?」
「えっと、二十三歳です。」
そう答えると、廣田さんは少し驚いたように目を見開いた。

