伊東くんの声は低くて、他の人よりも通りやすい。それはきっと口数の少ない彼の言葉を他の人たちが聞き逃さないようにと、きっと神様がそうしたのだ。
……なんてことは私の勝手な想像だけど。
小山、と呼ぶ彼の声は心地いい。そう呼ばれるだけで私の体が一気に温まるような、そんな気さえする。
「小山。」
ほら、そうやって。私を優しく包む。
小山くんに名前を呼んでもらえるなんて、実はかなりすごいことかもしれない。
だって、私はまだ彼が仕事場で他の女の子と仲良くしているところを見たことがない。
「……小山起きろ。」
「んっ、……えっ。」
目の前には、伊東くん。
どうして目の前に伊東くんがいるのだろう。そんなことよりここはどこなのだろう。
今日は伊東くんにリアソルへ連れていってもらった。そこで映画を見て、ショッピングも楽しんだ。
それで再び車に乗って、それから……
……それから?
「……あっ。」

