初恋は雪に包まれて



そう答えると彼はすぐに目線を外し、私から顔を反らしてしまった。

……本当に怒らせちゃっただろうか。

そう考えたのは一瞬だった。なぜなら、彼の右手が再び私の左手を包んだからだ。


「伊東くん、……怒ってないの?」

少し前を歩く彼を追いかける。そして、その大きな背中にそう問いかけた。

自然と小さくなる私の声に、彼は振り返ることなく「どうして。」と答える。


「……だって、失礼なこと言っちゃったから。」

彼の言葉にそう答えると、彼は足を止めた。


「別に、怒ってない。」

振り返りながらそう答えた彼は、その言葉に似合わず鋭い視線を私に向ける。

それはいつの日にか見た、彼の目と同じで。


だけど、気付いてしまった。あの日との違いに。

いつもと同じように、クールな彼。だけど。


程よく短く切り揃えられた髪から見える綺麗な形の耳。



その耳が少しだけ。


赤く染まっていた。