ふと目に入ったのは、三十代であろう夫婦。見るからに仲の良さそうな二人で、奥さんは腕に小さなゴールデンレトリバーを大切そうに抱いている。
その光景はなんとも幸せそうな光景で。私はぽつりと呟いた。
「私ね、」
「ん?」
「私将来、犬を飼うのが夢なの。」
無意識だった。私は急に何を言っているんだろう、と少しだけ恥ずかしくなる。
けれどそんな私を彼は笑うことなく、それで?と話を続けてくれる。
そんな優しい彼に少しだけ照れながらも続ける。
「私の家は動物飼えなかったの。だから犬を飼うのが夢でね、将来結婚したら庭のあるおうちでゴールデンレトリバーを飼うのが小さいころからの憧れなの。」
「ゴールデンレトリバー?」
どうして、と続ける彼の言葉に首を捻る。そういえば、どうしてだろう。
「うーん……どうしてだろうね。」
「自分でもわからないのか」
伊東くんが小さく笑う。
「うん、でもゴールデンレトリバーって大きくておおらかで優しいイメージで、なんかいいなぁって。」

