初恋は雪に包まれて



映画はとても面白かった。

妻を殺された夫や、上司に濡れ衣を着せられる会社員など、そんな役をこなすことの多いあの俳優にしては珍しいコメディー映画。

普段見る演技とは真逆の、しかしそれさえも嵌まり役と言えるほどの彼の演技はやはり天下一品だった。


ただ一つだけ。
隣の彼との近さに少しだけ緊張したのは、内緒だ。




「入りたい店とかあったら言えよ。」

映画館を出た私たちは特に目的地もなく、ぶらぶらと歩きだした。


「うん、ありがとう。あっ、」

「ん?」

可愛い、と思わず声が漏れた。目線の先にはたくさんの犬小屋。ペットショップだ。


通路に面して並べられたゲージの中には様々な種類の犬がいて、その周りには私たちと同じように足を止めた人が群れをなしていた。

……きっとあの人たちもあの可愛さに足を止めてしまったんだなぁ。

そう思い、笑みが零れる。


無言で伊東くんを見上げると、彼は小さくフッと笑って私の手をひいた。