初恋は雪に包まれて



「今丁度あの俳優の映画やってるだろ。」と彼は言う。

あの俳優。きっと私の好きなあの俳優さんのことだ。


「その映画観ようかと思ってたんだけど、」

もう他に観る予定あったか?と彼が少し心配そうにこちらに視線を向けた。



……まさか伊東くんがそこまで考えてくれているなんて。

どちらかと言うと、自分の行きたいところへグイグイと手を引っ張っていっちゃうような、そんなことを想像していたのだけど、私の予想は大ハズレだ。



「ううん、ありがとう。本当に嬉しい。」

笑みが溢れる。特に隠す理由もないのでそのままでいると、

丁度赤信号に引っかかり、一息つくようにハンドルにもたれ掛かった彼と目があった。



そういえば、こんなに近くで顔をしっかり合わせるとはあの日以来だ。仕事中でも、あまり顔を合わせなかったから。

その事に気が付くと妙に恥ずかしくなって、堪らず顔を俯かせた。


その時だった。