「日和(ひより)、最近何かあったでしょ?」
土曜日の昼下がり。この町で一番栄えている駅から五分歩いた所にある、小さなパスタ屋さん。
今時のおしゃれなカフェというよりは、昔からある、町の人々に長く愛されているこぢんまりとしたこの店は私と夕ちゃんのお気に入りの店だ。
「えっ……と、何か、あったかな……」
「あったでしょ、その態度。あんた人一倍わかりやすいんだから。」
「私に隠し事なんて出来ないわよ。」なんて言いながらペペロンチーノをくるくると器用に巻く彼女は、私の同期であり、そして親友だ。
親友と言っても付き合いは同じ会社に入社してからのほんの一年で。だけど、時間の長さなど関係ないのだとつくづく思う。
それくらい彼女は私にとって大切な存在なのだ。