冬の空気は澄んでいて、数え切れないほどの星が瞬いている。

雲ひとつない空に散らばっているそれは、ため息をつきたくなるほどの綺麗さだ。


冬の大三角。名前は何だっけ?


「寒くないか。」

ふと、隣から優しい声が聞こえた。私を時々通る車から守るように車道側を歩く彼を見上げる。

「うん、ありがとう。大丈夫だよ、これがあるから。」

手に持っているホットミルクティーの缶を見せながらそう言うと、彼が小さく笑った。


時計の針は、じき真上を指そうとしている。


「夕ちゃん、すごく酔っぱらってたね。」

いつもの女王様のような雰囲気に更に拍車がかかった親友の姿を思い浮かべ苦笑する。


職場の仲間を何人か誘い開かれた鍋パーティー。

診療が終わってから行われたそれは大いに盛り上がった。

その中でも夕ちゃんは開始前から"今日はとことん飲む!"と張り切っていた。

なんでも数日前に彼とケンカをしたばかりらしい。

そのストレスを打ち消すように体の中に取り込まれたお酒の量は、それはそれはものすごい量で。

結果、用意したお酒はみるみるうちに減っていき。

雰囲気だけで酔いそうになっていた私と外の空気が吸いたいと言った淳くんが、追加の買い出しに出掛けることになったのだった。