「さっき追いかけた時にキレられた。」
「えっ、」
「"なんで気付かなかったの!"って。」
……確かにあれだけ大好きオーラを放っていたのに、全く相手に気付いてもらえてなかったのだから、それは怒りたくなる気持ちもわかる気がする。
私が思わず苦笑いを浮かべると、煙草の箱を手でなぞるように遊んでいた彼もつられるように笑った。
なんとなく視線を窓の外へ持っていく。ベンチの方へやってみると、私たちと同世代のカップルが堂々とキスをしていて、思いもよらない光景にぎょっとする。
……なんて堂々としているのだろう!
見てはいけないようなものを見てしまったような気がして、慌てて視線を反らす。
「……そ、それで?」
熱い頬を隠すように片方の手で押さえる。
もしかして、それから話が進んで、まさか良い方向に転がったとか?
……あぁ、だとしたら、
「俺はちゃんと言ったよ。」
「え?」
たくさんの言葉が頭の中をぐるぐると巡る。様々な考えが次々と浮かんできて、それだけで酔ってしまいそうな感覚だ。

