彼はその言葉通り、すぐに来た。
いつか乗ったあの四角い大きな車が滑るようにやってきて、あの時と同じようにアパートにぴったりと寄り添った。
玄関の鍵が締まっているかをもう一度確認し、その車へと急ぐ。
彼もこちらに気付いていたようで、私が彼の車に近づいたと同時に、ドアが開いた。どうやら彼が中から腕を伸ばして空けてくれたようだ。
「とりあえず乗って。」
「……おじゃまします。」
という挨拶はどうなのかと思ったが、まぁいいか、と開き直る。
運転席の彼を見ると上着は今日着ていたものと同じものだったが、ボトムは履き替えられ、ゆったりとしたスウェット生地のものになっていた。
「電話するって言ったろ。」
車が走り出してすぐ、彼はそう言った。その声はどこか怒りが含まれているような気がする。
「えっ?……えっと、うん……。」
吃りながら返事をする私をチラッと見る。
そして車はゆっくりと停止した。前を見ると信号が赤になっていた。

