初恋は雪に包まれて



その声のトーンから、きっと今彼はあの困ったような顔をしているんじゃないかと想像する。

「ううん、私こそ嫌なところがあったかもしれないし。」

そんなことないけど、と受話器の向こう側の彼は言う。


「……楓ちゃんと話できた?」

改めて受話器の向こう側にそう問い掛ける。

「あぁ。」

「そっか、よかったね。」

「その事なんだけど、」

少しの沈黙があった。そして、彼はあの低い声でゆっくりと言った。


「今から話せないか?」











手元のスマートフォンで時間を確認すると、午後十一時を回っていた。彼からの連絡は未だない。

両手を口元にやって、白い息を吐く。相変わらず外の空気は体を刺すような冷たさだ。

道路の端を歩いていた小さな野良猫が、寒そうに体を震わせていた。


しばらくそうしているとポケットに入れていたスマートフォンが震えた。自動で表示されたメッセージには"もうすぐ"と一言だけ書かれている。