"……あのね、私、"
あの言葉の後、私はなんて続けようとしていたのだろう。
そんなことを思いだし、一人で顔を赤くさせる。
午後十時過ぎ。
仕事がある平日は時間が無いため、ゆっくりお風呂に入ることが出来ないが、こんな風に時間があればゆっくりとバスタイムを過ごすことが出来る。
浴槽にたっぷりとお湯を貯め、お気に入りの入浴剤を入れる。
温かい湯船に体を沈めれば、一週間分の疲れが一気に飛んでいくような感覚に浸る。
……楓ちゃんがあそこで現れていなかったら、私はあのまま気持ちを伝えていたのかもしれない。
その事実に気がつくと急に恥ずかしさが襲い、思わず両手で顔を覆う。
「好きになるって、難しい……。」
今までろくに恋愛というものをすることなく生きてきたため、ほとんどのことが初めて体験することばかりだ。
でもわかったことがある。
彼を好きになって、わかったのだ。
恋をすると、毎日が楽しいことが。

