初恋は雪に包まれて



けどきっと、このまま別れるなんて二人にとって良いはずがない。楓ちゃんだって、もっと伝えたい想いがあったはずだ。

「早く行ってあげて。」

ね?、と促す私は上手に笑えただろうか。


私を見下ろして一度頷いた彼は、彼女を追いかけようと背を向ける。そしてそのまま歩き出すと思ったがまたこちらへ振り返った。

「ごめんな、気をつけて帰れよ。」

「ううん、ここまででも十分だよ、ありがとう。」

伊藤くんも気をつけて、と付け足すと、彼はもう一度頷いてくれた。


ちゃんとアイツと話してくる、と彼は言い残し、私に背を向けて歩いていく。

その背中を一人で見届けるのは少し寂しいような、切ないような気持ちもあった。


だけど、大丈夫。

彼と彼女がどんな話し合いをするかはわからないし、聞くつもりも無い。


だけどどんな結果であれ、あの二人がこれまでと変わらず良い関係でいられることを願いながら、私は家までの道をゆっくりと歩いた。