そう言ってもう一度ニコッと笑う彼女は、同姓の自分から見てもとても可愛らしい。
もし自分が男の子で、こんな風に絵顔を向けられたら、一瞬で惚れてしまうようなそんな魅力がある。
"気安く呼ばないでもらえます?"
……あの一件を思い出させなければ、の話だが。
「でね、今から淳ちゃんの家行こうと思ってたんだ。そしたら会えたの!びっくりだね。」
「……ふうん。」
「ふふ、じゃあ早く帰ろ?」
私がいる方とは反対側の彼の腕をぎゅっと抱きしめながら言う。
上目遣いをする彼女のまつげは、驚くほど長く、人形のようだ。
「いや、俺まだ帰れない。」
「え?どうして?」
「カレーだけ貰っとくわ、ありかとな。」
おばさんにもお礼言っておいて、と言いながら右手を彼女に差し出すが、彼女はその届け物を渡す素振りは見せない。
数秒間、まるで時間が止まったようだった。
二人は見つめあい、目で会話をしているようにも見える。

