「また来てくださいって伝えといて」
「はい。わかりました」
私に頼んだ後、奈実先輩と和也先輩は荷物を置きに行った。
私達も、またモップをかけ始める。
「俺、今日凄い楽しみにしてたんだ」
そう言った翔樹の顔は、やっぱりキラキラと輝いている。
「知ってる」
思わずクスッと笑い、そう言ってみる。
「俺さ、試合に出れたら……頑張るから。
絶対点いっぱい決めて、すっげープレーだっていっぱいする。」
「うん」
「だから……、しっかり見とけよ、俺のこと」
「…うん……」
なんだか……いつもと違う。
いつも翔樹は幼いなって思うのに……。
全然、思わない。
優しい微笑みを私に見せる翔樹は…大人っぽいなと思った。
それに………心臓がうるさい。
ドキドキと激しく脈を打ち、耳元に心臓があるんじゃないかと思うぐらいうるさい。
………きっと、いつもと違うから。
翔樹がいつもと違うからびっくりしただけ。
私が翔樹のことを好きなんじゃ…ない。
翔樹には好きな人がいるし……。
なにより私は好きじゃない。
友達よ。そう、友達……。
そうやって自分に言い聞かせるかのように、心の中で呟き続けた。

