「美由?どうかしたの?」
「佐江………」
1人で悶々と考えていたら、気付かぬ内に目の前には佐江が立っていて…。
「難しい顔して、どうしたの?」
こういう風に悩んだ時、私が頼って話すのはいつも佐江だった。
中学の時、私はよく悩んでて…。
主に部活のこと。
中学で部活を最後まで続けられたのは、佐江がいたおかげ。
私が辛いときに寄り添っていてくれた、そんな佐江は私にとってかけがえのない親友。
「なんにもないよ!部活のことでね、ある選手のプレーを直したいんだけど…。
それ考えてただけだから」
でも、これは言えないかな。
この気持ちは言いにくいよ。
「…そっか!
あ、そうだ!昨日のテレビのさ、ドッキリの観た?」
ごめんね、佐江。せっかく心配してくれたのに。
「あ、観た観た!
笑い過ぎてお腹痛かったよ~」
あはは、と佐江と笑い合いながらも、複雑な心境に戸惑っていた──。

