私の思考を読んだかのように、監督はまた言葉を発する。
「“指導“と言っても、深く考えなくていいんだよ。
さっき和也にしていたようなアドバイスでいいんだ。
それが積み重なって、少しずつ選手達は成長する。そして勝利に繋がるんだよ」
じっと黙って聞いていた和也先輩と翔樹。
でも、和也先輩はタイミングよく話し出す。
「俺は、さっき言った通りスリーは凄い苦手だったんだよ。
リング下でのプレーが多いし、別にいいかなとも思ってた。
けど、やっぱり試合ではスリーを打つ場面ってどうしてもあるんだよ。
でも、俺はそれをことごとくはずす。
レギュラーとして出さしてもらってるのに、申し訳なかった。
それが、入るようになったんだ。
俺、自信がついたんだ。今すっごい早く試合がしたくて堪らないんだ。
そうしたのは美由、お前だよ。
深く考えなくたって、美由なら自然とできるよ」
「和也先輩…………」
私のあんなちょっとしたアドバイスで、そんなに変わるものなのだろうか……。
でも、和也先輩の言葉は嘘だとは思えない。
だって、本当に嬉しそうなんだもん。
私は、こうやってこのチームの皆を成長させることができるのかな……?
ううん。“やらないとダメ“なんだよね。
私は、皆が頑張ってるのを支えたい。
少しでも力になりたい。
じゃあ、監督も和也先輩もこう言ってくれてるんだ。
それを信じて、どんどん意見を言ってみよう。
それで皆が成長出来るなら………!

