「そこを意識してやってみてもらえますか?」
「お、おう。わかった」
少し戸惑っていた和也先輩だけど、すぐに真剣な顔をして翔樹に向き合う。
パスを受け取りボールを放つ先輩。
さっきまでとは違い、程よい高さの軌道。
ザッ
和也先輩が放ったボールは、吸い込まれるようにリングを通り抜けた。
「え……すげ…」
そう呟いたのは翔樹。
「入った……」
ポカンとしてる和也先輩。
またパスを受け取って、ボールを放つ。
ザッ
また、決まった。
その後も3回打ち、3回とも決めた先輩は、輝いた笑顔で、私の目の前にきて話し出した。
「俺、スリー苦手だったんだ。
本当にたまにしか入らなくて。
でも…美由のアドバイス聞いたら5回も連続で入った…。ありがとな!」
「軌道以外は完璧でした。だから入っただけですよ。
私はそれを言っただけです」
微笑んで伝えると、
「いや、それでも入るようになったのは美由のおかげだよ。
ありがとうな」
と微笑み返された。

