彼とバスケと私





「美由ー!」


呼ばれて振り返ると、

ブンブン手を振っている美咲先輩と、笑顔の渚先輩。



そして、渚先輩はすぐに体育館を見渡し、


「カゴもボールもタイマーも…それにモップまでもう終わってる。

もしかしてこれ、全部1人でこの短時間でしたの?」



驚いたように訪ねられる。


「あ、はい。
昨日仕事を奈実先輩に聞いておいたので、それを思い出しながら……」


「渚。凄く優秀でいい子が入ってきたね」



しみじみと言う美咲先輩と、頷いている渚先輩。



「3人で話し込んで。どうかした?」


「「奈実先輩!」」


渚先輩と美咲先輩が声を揃えて言う。


「美由、私達が来る前に練習前の仕事全部終わらしてたんですよ!
凄くないですか!?初日ですよ、今日!」




「え、本当に!?」


「え、はい。でもそんな大したことでもないですし……」



そう言っていたら、ガシガシと後ろから誰かに頭を撫でられた。



それと同時に言葉が降ってくる。


「優秀だなぁ、美由は。助かるよ」


それは和也先輩だった。