少し変わった愛を語ろう。

泥沼化する戦争。
とある1人の兵士がいた。彼は死線を幾度となくくぐり抜けてきた歴戦の勇士であり、殺した人数はとてもじゃないが数え切れない。数えたら狂ってしまうだろう。


そんな彼にも、いや、そんな彼だからこそ、母国には妻がいた。

彼を待つ家族という支え。彼にとってかけがえのない存在であり、彼女のために、彼は生き延びているようなものだ。


戦争が激化する中、彼は必死に生き残った。戦うというより、生き延びる方が結果的に正しい判断だ。周りが戦争に酔いしれ、段々と仲間が消え、若い兵士と行動を共にする中、彼のみが生き残っていった。



ついたあだ名が
「OVERKILLER(万人殺し)」
 オーヴァーキラー


死神と呼ばれた男は、いつ終わるか分からない戦争に20代全てを費やした。

そして30歳の誕生日。彼は突然退役した。皆その彼の行動に驚愕した。このまま行けば悪くて大佐、もしくはそれ以上の階級になれるというのに。だが彼は理由を聞くとただ一言、

「家族が待っているから」

とだけ言い、納得しきれない軍関係者をよそに、ひっそりと姿を消した。

ただ、御守り代わりにと彼自身が愛用していたライフルの弾を一発、持ち帰っていった。