「あれ、夏乃〜どうしたの?」


学校についてすぐ話しかけられた。この子は真柴琉夏。まぁ、オタク仲間というやつだ。わりと自分の名前が好きらしい。理由は好きなゲームのキャラと同じ名前だったからだったかな?まぁ、そんなこといいや。琉夏には星くんのことは話している。てか、感の鋭い子だから、隠しきれなかった。


「例の件で、妹と一緒にちょっとね。」

「なるほど。確かにあの妹ちゃんなら頼りになりそうだ。」

「そういうこと。」

「それにしても、一気に変わったわね〜。うちの学校は自由で良かったね。規則厳しかったら完全にアウトだよ。」


そうだ。今の私は、少しカールがかかっていて、ふわふわしている。流石に邪魔だったので、一つに結んだ。まぁ、出るときに夏乃に注意されて、サイドに寄せられて、前に髪を流すような感じにされたけど…。


「それな。いやー本当に妹に感謝です。陽乃マジ天使。」

「本当に妹ちゃん好きだねぇ。それで、そんな夏乃さんはどうやって件の彼と接点を作るつもりですかな?」

「あ。」

「そこまで考えてなかったわけだ?」


忘れてた…。自分磨きはいいけど、それだけじゃダメなんだよね。星くんに私を知ってもらわないといけない訳だ。私と星くんの関係は、せいぜいクラスメイト程度だろう。

そう考えると、今彼氏彼女がいる人って本当にすごいよな…。
特に、隣のクラスなのにとか、違う学校なのにとか、そういう人。相当の勇気がなければ告白も出来ないし、相手に好きになってもらわなければ、両想いになることもできない。どうやって接点を作って、両想いになってるんだろう…。


「夏乃ー?夏乃さーん?夏乃ちゃーん?」

「ふぁい!?」

「あ、やっと気づいた。」


どうやら、なんだかんだ考え過ぎてしまったらしい。


「さて、そんな夏乃さんにいい情報をあげよう。星くんね、クレールエールってカフェでバイトしてるんだって。行ってみたら?」

「琉夏さんなんでそんなことを知ってるんですか。まるで乙女ゲームのお助けキャラみたいじゃないですか。」

「腐女子の情報網舐めちゃいかんよ?星くんと渡瀬くんの絡みはうちらの業界じゃ有名だよ。」


妙ににまにましてる琉夏。
私と琉夏は親指を付き合わせ、にぃーっと笑い合う。実に悪どい笑みだったと思うよ、うん。その後、流石に一人じゃ不安だったので、一緒に行ってもらう約束をした。
場所もわからなかったしね。