【短編】いつも側に





少し離れた所で拓真と千夏の姿が嫌でも目に入る。



『…拓真』


小さく呟いたアナタの名前。

拓真は急に顔を赤くして笑ったりしていて



きっと千夏が好きなんだろうと思った。




『拓真!千夏!早く教室に行くよ!』

「はーい!」


明るい可愛らしい声を出して私の所に来た千夏。

千夏の肩越しから見えた拓真は…



『…っ』



眉毛を下げて切ない表情をしていた。


そんな顔をしないでよ…

千夏と2人っきりを邪魔されて嫌だった??



「優美?」


心配そうにする千夏が視界に入りハッと我に返った。



『行こ!』

「うん!」


笑顔を向ければ安心した千夏が隣に並んで歩く。

もし、千夏が拓真を好きだったら…



応援しなきゃいけないんだよね…