【短編】いつも側に




―…



「また、壱吏が一歩リードしてるわよ」

「はッ?!」


後ろを振り向けば、優美は壱吏と楽しそうに笑っていた。



「拓真がモタモタしてると、誰かに取られるぞ」

「わかってるよ!!」


千夏は俺が優美を好きな事は知っている。

゛見ればバレバレだから゛まで言われた。



「あー、私の大事な優美が汚れる」

「お前なー」


千夏は優美の事が物凄く好きらしい…

勿論、友達として!!

だからなのか、いつも俺が優美を独占すると、嫌みっぽく喧嘩をふる。



「てか、千夏は協力する気あるわけ?」

「拓真が優美に相応しいと思ったら協力するよ」


相応しいと思ったらって…

今の俺、優美に相応しくないわけ??



『拓真!千夏!早く教室行くよ!』

「はーい!」


さっきの俺に対する態度をコロッと変えて、笑顔で優美の所に駆け寄った。

マジ、女ってわかんねぇー…