【短編】いつも側に




「はい、勘違い~」

「勘違い?!」


険悪なムードはどっかに消えて、いつもの俺らにいつの間にか戻っていた。



「俺は、千夏が好きって言っただけ」

「は!?千夏、…え?!」


サラリと言った爆弾発言に俺は言葉が上手く出てこなかった。



「でも、アイツも好きって…っ」

「それは本人に聞けばわかるだろ?」


本人っても、嫉妬でイラついた俺は優美を傷つけた。

泣くほどにまで…



「本っ当にお前ら鈍いわぁ~」

「はぁ?」

「とにかく、へコんでも仕方がないだろ?」


バシッと背中を叩かれて、いきなりな事でよろけて前に出た足。



「いってーな!」

「行って、今度は勘違いで傷つけんなよ」

「言われなくっても!!」


それだけ言い捨てて俺は優美を追いかけた。