【短編】いつも側に









『いち…りくん??』



やけにピンと張り詰めた空気が漂った。


…な…に、この重い感じは…




「俺…さ、ずっと黙ってたけど…」



何だろう。

わかんないけど、聞いてはいけない気がする…


でも、言葉が出てこない。




「―…っ、好きなんだ」

『…え』



微かに聞こえた小さな言葉。

嘘…だよね…









―…



「だぁーッ、クソッ!!」



どこを走り回ってもいない二人の姿。



「優美ッ」



初めて誰かにとられるんじゃないかって焦った。




ずっと見てた゛愛しいキミ゛。



今すぐこの手で抱きしめて、不安を消したいのに…



「―…っ」

「ぁ?」



公園の前に立ち止まり、上がった息を落ち着かせようとしていた。

だけど、聞き覚えのある声が公園の向こうから聞こえた。