【短編】いつも側に



「わた…しッ、優美に嫌われちゃったよッ」

「は?何言ってんだよ」


千夏は俺の腕を掴んで泣き叫んだ。

てか、あんなに仲良しなのに嫌う分わがないだろ…



「まず、何があったわけ?」

「実は…ッ」


俺は千夏の両肩を掴んで落ち着かせて、まだ涙が止まらない千夏から全ての事の成り行きを聞いた。



「…ッ、優美は?!」

「あ、さっき壱吏が…」

「は?壱吏?」


千夏から出た壱吏の名前。

千夏が言いたかった事がわかり、俺は眉間にシワを寄せた。
アイツに優美を渡してたまるかよ…ッ!!



「とにかく、保健室行けよ!!」

「あ、待って!!」


俺が教室を出ると千夏が腕を掴んで止めた。



「まだ、認めないけど…


壱吏に負けんなよ!」


真剣な眼差しに一瞬ビックリして体が止まったが、 千夏の頭をワシャワシャと乱暴に撫でた。



「もちろん!!」


そう言い残して、千夏を置いて学校を後にした。