花に想いを。

えーと…でも聞いたのはコッチだもんね。
話を繋げなきゃ。
「自然部…ってさ、いっつも何してるの?」
「花の世話、とか」
おお……確かに自然ではある。
でも、校内で花?
いまいちピンと来ない。
思わず首をかしげる。
すると、海士くんがタッと歩くスピードを速めた。
歩く…って言うか、もう小走りって感じ。
今までがゆっくり歩いてたから、あっという間に離されてしまった。
そのまま階段を下られてしまい、姿を見失う。
え……!?
なになになに。
私なんかマズイ事やった!?
悲しいかな、ぜんぜん思い付かないけど。
だめ、私と海士くんじゃ考え方が合わな過ぎ。
相手がなに思ってるのか、さっぱり分かんないよ……。
とりあえず追いかけようと、階段の手すりに手を掛けてパッと下を見る。
すると、そのすぐ近くの踊り場に海士くんは居た。
こっちに背中を向けている。
「なんだー、焦っちゃったじゃんっ」
あはは、と笑って駆け寄ると、ゆっくり振り向く海士くん。
体の向こう側に、大輪の花が見えた。
そっと笑って
「ごめん。こいつを思い出して」
と花を触る。