花に想いを。

そう頭の中で叫んだけど、海士くんはやっぱり無口。

「どうも」

とだけ言って座り、シャーペンを受け取った。

む…無言の空間……

海士くんは平気かも知れないけど…

っていうか全然平気なんだろうけど。

私はシーンって空気、ムリなんだよー!

とか思ってる間に、海士くんはシャーペンを走らせる。

次々とスペースが埋まっていく。

はやーい…

人って、こんなに速く作文書けるの?

こっちは休み時間3つくらい潰したんだけど。

神様って不条理…

やっぱり勉強もできるのかな。

できるイメージあるなぁ…

私とは全然違うね。

真剣な表情に、夕日が影を作る。

いつもより余計に、綺麗。

なんて思っていると、ぱっと目が合う。

「何?」

「あ、いっ、いやいや!」

相手だけ座ってるから、自然と上目づかいになる海士くん。

目に光が入って…幻想的、っていうのかな。

慌てて手を振ると、

「そう」

と微笑む海士くん。

あああ、心臓に悪い!