ま…まさかの仕事できる男っぷり。

もっと冴えないっていうか、トロい感じかと思ってたなあ…

だって、陰キャラ、だし。

そんな事を考えてる間に、海士くんはぐっとこっちに来ていた。

考えてる内容が…ちょっと失礼だったから、思わず一歩後ろに下がる。

海士くんは気にした風もなく日誌を覗きこんだ。

「本当だ。埋まってる」

「そ、そりゃ…」

それが私の仕事だったんでしょ?

それならやるの当然だし。

そんなことを思った私に、海士くんは

「ありがと。」

と微笑んだ。

笑った顔…キレイだなあ。

さすが美形…

「こ、こちらこそ…」

雰囲気に呑まれてモゴモゴと返事をする。

…ああ、こんな返事、私のキャラじゃない。

だっていつもだったら、笑って

『いいよー』

とか

『まかせといてっ』

とか…こんなんだもん。

だって、暗いのとか嫌だしさ。

でも今の私の返事…

なんか、クラスで目立たない女の子って感じじゃなかった?

もごもごって感じだし。

笑顔でもなかった、気がするし。

何なんだろ。

ひょっとして海士くんの陰キャラ、移った?