さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~

店を出てから、ゆうに15分はたったころ、生け垣に囲まれた一戸建ての家の前で、ようやくおばあさんは立ち止まった。

「ありがとう、着きましたよ」

「ああ、よかった」

あたしは、ケーキと荷物を地面につけないように気をつけながら、へなへなとその場にへたりこんだ。

「まあ、まあ、若いのに」

おばあさんは笑いながら、玄関のカギを開けた。

(違いますって。あたしは、おばあさんのことが心配で、気疲れしたんです……)

と、思いながら、あたしは、自分の後頭部がじんじんと痛いことに気付いた。

目が回る。気分が悪い。

水がほしい。

倒れるかも。