さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~

家族の笑顔の中心には、果林堂のケーキ。

たとえようもなくうれしく誇らしかった。

「子どもたちが大きくなって、結婚する相手を連れてきた。
そのときも、ケーキ。
孫が生まれて、また、ケーキ。おほほほ……」

おばあさんは、立ち止まって、肩で息をした。

この暑さは老人にはこたえるに違いない。

さすがに、疲れたのだろう。

あたしは、黙って、おばあさんが右手に提げていた買い物袋を持ってあげた。

今度は、おばあさんは素直に実可子に荷物を預けた。