クリスマス・イブの食事は、あたしの家では、だいたい出来合いのお総菜だ。

ケーキ屋の宿命として、多忙なクリスマス・イブは、ご飯なんて作る時間も体力もない。

でも、出来合いでもいつもよりちょっとごちそうがある。

その上、両親が、普段飲まないワインをグラスにつぐから、どことなく華やかで、クリスマスらしい夕食になった。

あたしが中学校に入ってからは、学校でもらった賛美歌のCDを流すようになった。
ますますクリスマスの雰囲気が溢れるのだ。

みんなで囲んでいるのは、花模様の上掛けのこたつであろうが、父が着ているのは茶色の「どてら」であろうが、そんなことは、関係ない。