さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~

潤一さんと麻理も来た。

夕方、勤め帰りの人が増えてきたころだった。

二人は、クリスマスの買い物をしている様子だ。

麻理は、赤いミトンをはめた手に、フライドチキンの大きな箱を抱えている。


「今日は忙しいね」

と言いながら潤一さんは、ケーキの予約の控えを出した。


「ありがとうございました」

包装したケーキを手渡すと、潤一さんはコートのポケットから、小さな包みを出した。

「はい、クリスマスプレゼント」

「ありがとうございます。いいんですか」

麻理がそれを見て、

「あら、兄さん、何よ? いつ買ったのよ?」

と不思議そうに尋ねた。

潤一さんは麻理には答えずに、じゃあ、と言って片手を小さく挙げた。