さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~

大木さんは
「歌い手としてではなく、作曲家としてやっていくのも悪くはないぞ」
と言う。

「歌手の才能はないってことか?ああ、オレは負け犬だよ」


あたしは、いらいらが募ってきて我慢できなくなった。

足早に居間を出て店に入り、ショー・ケースに飾っている麻理の詩を取った。

麻理の詩にならって、あたしもいくつか上手くはない詩を書いて、店に飾っていた。

それらをはがした。

店番をしていた父はびっくりしたようだったけど、あたしは何も言わず、詩を書いた紙を手にして居間に戻った。