「お嬢ちゃんは、コンサートに来ていたよね? どうでした?」
志研さんが聞いた。
「よかったです。あたしは、『ふるさとのあなた』が好きでした。
涙がでちゃいました」
「あれは、いいですよね。志研は、作曲の才能があると思います」
と、大木さん。
「はい、あたしも、そう思います。あんな曲をたくさん作って発表したらいいのに」
「うーん。事務所がね……」
(また事務所だ)
「事務所なんか、テキトーにあしらって、自分の歌いたい歌を歌えばいいじゃないですか」
志研さんが事務所のいいなりになっている気がして、つい強い口調になった。
大木さんが笑った。
「お嬢ちゃんの言うとおりだ。売ろうとするから、逆に売れないんじゃないか? 好きな曲を歌えよ」
志研さんは、うつむいて、弁当とカレーを交互に食べている。
「自信がないんだよ。何となく。……負け癖がついてるのかね……」
自嘲ぎみに、志研さんは言った。
志研さんが聞いた。
「よかったです。あたしは、『ふるさとのあなた』が好きでした。
涙がでちゃいました」
「あれは、いいですよね。志研は、作曲の才能があると思います」
と、大木さん。
「はい、あたしも、そう思います。あんな曲をたくさん作って発表したらいいのに」
「うーん。事務所がね……」
(また事務所だ)
「事務所なんか、テキトーにあしらって、自分の歌いたい歌を歌えばいいじゃないですか」
志研さんが事務所のいいなりになっている気がして、つい強い口調になった。
大木さんが笑った。
「お嬢ちゃんの言うとおりだ。売ろうとするから、逆に売れないんじゃないか? 好きな曲を歌えよ」
志研さんは、うつむいて、弁当とカレーを交互に食べている。
「自信がないんだよ。何となく。……負け癖がついてるのかね……」
自嘲ぎみに、志研さんは言った。


