さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~

「ぼくのふるさとは、北日本の海辺の町です。ぼくは、そのさみしい町がいやでした。

いつか東京に出て、歌手になるぞ、と思っていました。

夢がかなって、ほんとうに歌手になれました。でも、なかなかテレビには出られません。

有名な歌手になる、と宣言してふるさとを飛び出したものですから、ぼくは、ふるさとに帰れなくなってしまいました。

ある日、ふるさとのことを想って、ぼくはこんな歌をつくりました。

『ふるさとのあなた』です。 聴いてください。」


ギターを抱えて歌ったその曲は、

「ふるさとに残したあなたが結婚したという噂をきいた。

あなたのいるふるさとには、もう帰れない。

あなたと歩いたあの海辺にはもう戻れない」

……という内容だった。

この歌には、志研さんの悲しさがぎゅっとつまっていて、あたしは涙ぐんでしまった。