もう一筋。 涙が。

あたしは、涙をぬぐった。

「実可子ちゃん」

潤一さんは、見つめてくれている。


潤一さんから目をそらし、だまってノートを写し始めた。

麻理のピアノが、さっきとは違う曲を奏で始めた。


(みどりさんなら、きれいなフォームで飛び込むんだろうな……でも、飛び込む勇気がない人は、どうすればいい?泳ぐことができない人は、どうするの?)