父が表紙になった「シティ・タイムズ」を、みどりさんが持ってきた翌日。

再び、みどりさんが果林堂にやってきた。


胸の辺りで小さく手を振って店に入ってきた。

「どうでしたか? あれ」

と、相変わらずの童顔で、無邪気に尋ねる。


「お父様は、あの記事、気に入られました?」

「アレ見て、しばらく寝込んでいました」

「あららら……」

みどりさんは、肩を落とした。

「しゅん」という擬態語そのものだった。


「相当恥ずかしいみたいです」

「いい記事だと思うんですけどね……」