8月の下旬になった。

そろそろ、学校の宿題が気になる時期だ。


「実可ちゃん、今日、麻理ちゃんのお兄さんがケーキを取りに来るから、来たら渡して」

朝、母が釣り銭の準備をしながら言った。

「え?」

「誕生日のケーキ。奥の冷蔵庫に入ってる」

「はい」

(誕生日? お父さんか、お母さんの誕生日?)

電話の側に置いてある、注文を受けて書き付けるメモをめくった。