ドアの前に立っていた光が、あたしの方にゆっくりと近づいてくる。


…逃げなきゃ。


あたしは、この人の話を聞いてはいけない。

聞いたら、気持ちが抑えきれなくなる……

分かってるのに。


「俺はまだお前が好き」


光はまっすぐに、あたしを見据えて言った。

その瞳に偽りがあるとは思えなくて。

思わず、引き込まれそうになって。

「兄弟だろうと関係ねえ。出会って惹かれ合ってしまった以上、どうしようもねえよ。
…俺は輝がいなきゃ…だめなんだ」

「…………っ」

自制が、効かなくなる……


…好きだよ。

光のことが。

諦めようとすればするほど、

想いは強くなっていく。


…気付いてた。

光のことは、いくら頑張っても忘れらんないって事ぐらい……