「…光」

「そんなんになるまで無理矢理食うなっつの。ほら」

そう言って光があたしに投げたのは、
酔い止め薬と水。

…あたし、そんな具合悪い素振り見せたかな?

できるだけ明るくしてた、はずなのに。


何で…分かるの?

「……じゃあ、気を付けて帰れよ」

背中を向けて歩き出す光。

…待ってよ。

何か話すこと、無いの?

同居の事とか、何にも意見は無いの?

「光っ!!」

急いで光を呼び止める。

ゆっくりと、振り向いたその顔は。

苦しげで、悲しそうな、そんな表情をしていて。

…どうして光は、あたしと話すとき

そんな切ない瞳をするの?

「何も、考えてないの?」

「…何が?」

興味の無さそうな声。


…やっぱり、もう何とも思ってないんだね。

「…ううん、何でもない。じゃあね」

そう言ってお母さんの車へと走る。


泣きそうになってるのは。

気持ちを抑えてるのは。

…ツライのは、何故だろう。