光をチラッと見ると。

表情一つ変えずに、淡々としてる。

「光君は、どう思う?」

そんな光に、お母さんが訊いた。


…どう、思ってるの?

感情がまるでないような表情からは、
何も読み取れない。

「別に、俺らに選択肢はないですし」

…ふと、光の表情がくもった気がした。

気のせい、かな?

一瞬だけど、泣きそうな…そんな顔を見せたような。

「…そう?輝は?」

「あ…たしも、いいと思う!何か楽しくなりそうで、楽しみだね」

なるべく明るく、笑顔で答える。

というか、そう答えるしかない。


だって、あたし達が反対したら…

お母さんの幸せが、壊れてしまう。

「じゃあ2人とも賛成だね。明後日には同居できるように、帰ったら引っ越しの準備だなあ」

「忙しくなるわね」

…嬉しそうなお義父さんとお母さん。

良かったね。

幸せを掴めて…

心からは、まだ祝えきれてないけど。

でも、お母さんのこんな幸せそうな顔を見るのは、初めてだったから。

何だかこっちまで幸せになった。


例え……この再婚があたしの心を砕いた原因だとしても。