と、唐突にいつもの苛めるように歪められた口角。
「ハツジョウキ?」
「ち、ちが……っ!」
「なーに泣きそうな顔してんの」
「してないです!笑い泣きです!」
ふーん。と楽しそうな声色で私を舐めるように見る先生。
居心地が悪くなり椅子ごと後退しようと地面と上履きとの接触点に力を込めると、その作戦は先生の予想の範囲内だったようで長い腕が腰に回され許してもらえなかった。
「コーヒー!溢す……っ!」
先生に引き寄せられたことによって前のめりになった私の右手はマグカップを持ったままで、バランスが取りづらいこの体勢ではいつコーヒーを溢してもおかしくない状況。
どうせなら、このまま事故ということにして目の前の人物の頭にぶっかけてやろうかと思ったけれど、恐ろしすぎる妄想に自ら直ぐにピリオドを打った。
ちっ、と面倒くさそうに短い舌打ちをした先生は私の腕を掴んだまま立ち上がる。
逃げると思われているのだろうか。心外だ。今この拘束が解かれれば、高確率で逃げるけど……!くそ、
自分の手に持っていた読みかけの本を机に置き、私の右手のマグカップも奪ってその隣に置いた。
