春色デイジー

結局私が持っていくことで、一件落着しそうだったのに。


「なんで優花なの?」


来ると思っていた疑問が、里奈以外の口からあっさりと落された。


さて、先生はどうするんだろう。執念深くねちねちした女子高生を納得させることの出来る理由なんて用意しているのだろうか。




「出席番号が1番だから」


……あーそっか、なるほどー。


先生はあまりにも当然のように、さらりと、反論は受け付けないというように答えた。

すっきりはしないが、反論は出来ないその正当な理由に、皆拍子抜け。そして納得したようだった。



どちらにしても、私の秘密は既に先生の手中であり、拒否権なんて剥奪されたも同然なんだけど。


そして、満足そうに笑った先生を少しだけ恨めしい気持ちを込めて睨み付けてみたが、完全に目が合ったにも関わらず華麗にスルー。悪魔だ。


ちっ、と小さく舌打ちをしてから先生の方へ向かった。



「はい、これ持って」


2冊の英和辞典を手渡された。他に荷物があったとしても、一人でも十分に持てることは明らかだ。

もう一度無意識に出かけた舌打ちを押し殺して、それを持って今日はまだ太陽に照らされている廊下に出た。