春色デイジー



……くそう。先生のせいで女子から送られる視線に居心地の悪さはマックス。


それでも気に留める様子も無く、懇願の表情を張り付けたままの先生に折れか…


「あたしが運びますよー!」


危ない、危ない。負けてしまうところだった、ありがとう。こればっかりは感謝。

声の主である里奈が先生の腕を掴んで、覗き込むように首を傾げている。


里奈は可愛い。性格は少々いやかなり変わっているが、あの大きくてくりくりな瞳に見つめられたら、女の私ですらときめいてしまう。ただ、全て彼女の計算によるという点だけが、不服であるが。


まあ、これで私の出番は無くなったはず。と再び真子の席に足を進めようとしたが。


困ったような笑顔を浮かべる先生に、はあ、と溜息を一つ。

里奈によりがっちりと絡められた先生の腕。


「いいよ、私持っていく。里奈今から合コンでしょ?」


記憶の片隅にあった情報を無理やり引きずり出した。


里奈の横まで進み、耳元でこっそり。付け睫毛が取れかけていることを告げる。

あ、と声を上げた里奈は渋々引き下がる。その時の無言の圧力といったら。「お前抜け駆けなんてしてみろよ?全身縛って東京湾に沈めてやっからな?」ぐらいのものを感じた。嗚呼、くわばら。