春色デイジー

あの時の表情の理由が今も気になっていることは事実だけど、やっぱり彼女たちと同じように振る舞えないというのは、私のよく分からない意地のようなものだった。


まあいいか。としばらく眺めていた視界をシャットダウンし、さっさと帰る用意をして真子の席へ向かおうと鞄を掴んで席を立った。



その時。今もなお女子高生による質問攻めという猛攻を受ける先生が何だか不憫で、同情の眼差しだけでも送ろうと、……ばちっ、と効果音でも付きそうなほど目が合った。ジャストミート。完全にミスった。


小悪魔、というには性質の悪すぎる笑みを浮かべ、口を開きかけた先生を見て、嫌な予感がした。寧ろ、嫌な予感のみを感じた。

そして、笑みを濃くした先生を見て、そのものすごーく嫌な予感が現実になるのを悟った。アーメン。

さっと血の気が引いた感覚がする。


「相沢さん!今から荷物運ぶの手伝って欲しいんだけど!」

「無理です、忙しいです」


予め用意してあった返事を剛速球で投げ返した。