「あのね、今日から来た臨時の先生いるでしょ?……あの人昨日バイト先で会ったんだよね、」
一旦日誌の項目を埋めていく手を止め、真子を窺う。
な、なんかすごーく嫌そうな顔してませんか?どれだ、これか?先生の存在自体に拒絶反応か……?
「なめらかプリンで手を打とうか、」
「……あい、」
一応相談には乗ってくれるらしいが、帰り道にあるケーキ屋の1日数量限定のプリンを真子さんに納めるという契約がここで結ばれた。
彼女は、ふふっと綺麗に笑った。
「んー、良い状況でないのは確かね。お店暗いし案外大丈夫かもよ?……手動かしなよ」
「私も思ったんだけどさ、結構話したし名前教えちゃったんだよね。痛恨のミス」
真子に促されるままに再び日誌を書く手を動かしながら、なめらかプリンの値段を思い出そうと記憶を辿る。
校則でバイトが禁止されている上に、私の働く所はお酒を出すお店でもある。バレたら謹慎の可能性も否めないことを、真子も理解してくれているから彼女なりに真剣に考えてくれている。
