春色デイジー

さて、どうしようか。
何か良い打開策は無いか、と何も詰まっていないであろう頭を使い悶々と悩んでみる。


脅すか?いやいや、返り討ちに遭いそう。色仕掛け?私なんか相手にされない。

非現実的なものにしか、辿り着かず、自分のことであるが非常に不甲斐ない。


吐きだした溜息は思いの外重く、空気中の湿気を含み重さを増したそれは地面に落下。



そんな私に、前の席に座る友達、里奈が声を掛けた。


「ねえねえ、春斗先生ちょー格好良くない?彼女いるのかなあ?」

「……あ、どうだろね」


あまりに唐突に悩みの種の張本人の話題をぶっ込まれ、あからさまに肩が上がった。


綺麗に巻かれた胸の長さまでの髪の毛に、やり過ぎない程度に縁取られた綺麗なアーモンド型の目。いつでも艶が絶えない、唇。毎日ぶれることのないそれは、女子の鏡だと思う。


しかし、含むように笑う彼女の笑顔、得意ではなかった。
これは牽制か。私に牽制をかけてどうする。……って、深読みしすぎか。