「まぁ、指導員を目指した理由が理由ですからね。今は一番ギャップに悩まされる時期じゃないっすか」

 さらりと言う佐伯に、山河が驚いたように目を丸くした。

「アンタ、ちゃらけてる割にほんと色々見てるわよね」
「ふへへ。そんじゃまあ、ちょっくら行ってきますわ」

 へらりと笑って、佐伯が煙草を灰皿に投げ込む。

「行くって、どこに?」

 不審そうな目つきでこちらを見遣る山河に、佐伯はまた軽薄に笑んだ。

「悩める新人クンのとこっすよ」